「rasiku」のコト

早いもので、1月29日のオープンから1ヵ月と少しが過ぎようとしています。
この厳しい寒さの中、お店まで足を運んで下さったお客様には、
本当に有難いことなんだと実感する毎日で、感謝の気持ちでいっぱいです。

この1ヵ月の間、わりとご質問を頂く事が多かったのが・・・
そもそも、何故、私達が盛岡にお店を出店しようと思ったかということ。

以前、嫁が盛岡に仕事の関係で2年くらい住んでいた事があり、
その時に、たまたま2人で洋服を買いにでも行こうかと出かけた際に、
いつのまにか、お気に入りだったお店が潰れて無くなってしまい、
自分達の好きな洋服を、買う場所が無くなってしまった・・・
(他に知らなかった・・というのもありますが)
その時に、無いのであれば、いつかここで自分たちの着たいと思う服屋をやろう!
と、何の気なしに言ったのが始まりでした。

そこから足掛け、4年・・・構想は6年ぐらいでしょうか・・・

そんな経緯があって、今、こうして
2012年1月29日にrasikuは盛岡にOPENする事が出来ました。

お店をやるにあたり、自分の中で様々な事を考え、また全国の様々なお店を見てきた
経験も踏まえて、揺らぐことの無い、軸のようなものを作りたいと考えました。

1.店頭での販売にこだわる。
 今の世の中はインターネットが普及し、クリック一つで品物が次の日には自宅に届くという
 大変便利で、モノを買うという方法にも大きな変化を与える存在になりました。
 私自身もどうしても欲しい商品があれば、そういったサイトを利用したりします。
 ただ、盛岡でお店をやると考えた時に、出来る限り地元の方に
 私達が選んだ商品を、実際に手に取り、試着をし、説明を聞いて頂き
 そのうえで判断し、購入して頂かなければ意味がないと思いました。
  お店の空気感・商品の見せ方・スタッフの着こなし・接客など全てを含めて
 直に感じてもらいながらお買い物をして頂きたいと思ったからです。
 そこにはネットショッピングでは、絶対に味わう事の出来ない、なんとも言えない
 満足感があり、想い入れと大切にしようという気持ちが一層深まると思うのです。
 HPは作成しましたが、ネットショッピングサイトを付けなかったのには
 そういった意図があります。

 
2.店舗から情報は発信していく
 上記とは言っている事が逆になってしまうかもしれませんが、
 HPなどを利用し、最小限で最大級の情報発信はしていくつもりでいます。
 ファッションは常に流れているモノですし、変わらないモノと変わっていくモノが当然あります。
 盛岡という土地だからという事はなく、地域性を考慮しながらも
 世の中の流れに沿うようなカタチで、今の時代や気分にあった着こなしなどを
 rasikuのフィルターを通して、お客様に提案していきたいと思っています。
 あくまでも、服本来の基本(ベーシックなアイテム)を大切にしながら
 東京・大阪・福岡・札幌などのトレンド感のあると言われているお店などと
 情報を共有し、”rasiku”らしく提案していきたいと思います。 

3.洋服屋として
 一時期から、急速に「ファストファッション」と呼ばれる低単価でトレンド感のある
 洋服を取り扱うお店が増え、服に対しての見方や価値が以前よりは、
 低くなった、良く言えば身近になったという感じがします...
 勿論、それも時代の流れであり、それらを否定するつもりは全くありません。
 私自身も以前はそういった会社に勤めていた過去があります。

 ただ、働いていた時に感じたことは以前に比べ、洋服屋が洋服屋では
 無くなっているということ。全部が全部そうだという事ではありません。
 立ち振る舞い、着こなしや、知識。。
 昔、自分が店員さんに憧れて真似したり、様々な洋服に関する知識を
 教えてもらったり・・・そんな光景が少ない様に感じていました。
 過去の繊研新聞で、こんな興味深い記事を読みました。
 ある大手セレクトショップの社長さんが、
 「俗に言う服バカと言われるような人材が減ってきていて、
  ファッションに対する情熱が衰退している・・・」
 自分の想いと、強く共感する記事でした。

 洋服を扱う以上は、洋服についてより深く知る必要があると思いますし、
 様々な洋服を、失敗も繰り返しながら、沢山着るべきとも思っています。
 服、靴、鞄・・・ファッションに関する全てにおいて、こだわりと、より高い意識と
 貪欲に学ぶ姿勢が、服屋としての在るべき姿だと私は思うのです。
 それを教えてくれたのが、以前働いていた場所・そしてオーナーの二人。
 「格好良さ」へ対しての追求心とこだわりは、誰よりも強く、そして、
 その姿勢に憧れ、何度も店に通い続ける若者や、お客様を目の当たりにし、
 自分もいつかこんなお店を作りたいと想い、独立を決意しました。
 オーナーと同じ事は出来ないと思っています。ただ同じ服屋をやる以上は、
 その追求心やこだわりは受け継ぎ、次世代にまで繋げたいと思います。
 真面目にやっていく事が、自分が出来る唯一の恩返しだとも思っています。

 まだ30歳そこそこの人間なので、至らない点だらけではありますが、
 洋服屋としての誇りだけは人一倍持っていると思っています。
 いつか盛岡の洋服屋と言えば「rasiku」と認知されるような、
 信頼される店舗にしていきたい・・・
 というのが先ず第一の目標でもあります。

4.最後に・・・
 自分自身がまず一番に”ファッションを楽しむ”ということを忘れずにいる事、
 また、この想いがお客様に徐々に伝わり浸透していけば良いなと思っています。
 「ファッションを自分らしく楽しんでもらいたい」
 それが私が思う事の全てであります。

 ファッションをと一言で言っても、一括りには出来ないぐらい、幅広く奥が深い。
 興味のない人にしてみれば自己満足の世界でしかないとも思います。
 ですが・・・服は毎日着るものです。
 服は着る人がいて服として成り立ちます。
 そして着る人によって、同じ服でも全く違う表情になります。
 逆に言えば、同じ人でも着る服によって全く違う印象に変わります。

 毎日着る洋服だからこそ大切に、楽しんで欲しいと強く思うのです。
 諦めてしまえば・・・というとトゲがありますが、気にしなければそれまでです。
 それをとやかく言う人はいないと思います。ですが、良いねと言われる事もないと。
 少しだけ気にしていて、ちゃんとしたモノを身に着ける。
 自分のスタイルを知り、自分に似合うものを見つける。
 客観的に自分を見てみる。
 少なからず、人に対しても好印象を与えることが出来ますし、
 相手に対してのマナー、気遣いとも私は思います。
 ビジネスの場で、得をする事もあるでしょう。
 またそこから会話にもつながる。
 個人的な意見かもしれませんが、
 人によっては、服でその日の気分が引き締まったり、
 逆になんだか調子が出なかったり。時に、自分のモチベーションになったり。。
 些細な事ですが、服はその人の日々の生活に寄り添い、
 幸せな気持ちや、彩りを与えてくれるモノだと思うのです。

 たかが洋服。されど、洋服。
 洋服を楽しんで欲しい。 
 そして、そのお手伝いを私たちが少しでも出来たら・・・
 そんな幸せなことありません。 

 長々と書いてしまいましたが、オープンしてからの自分自身の心の整理と
 私達のお店の紹介も兼ねて、このようなカタチで記載させて頂きました。
 ここまで読んで下さった方、有難うございます。
 今後「rasiku」が盛岡になくてはならないお店になれるよう
 精一杯取り組んでいきますので、これからも宜しくお願い致します。 


rasiku    佐々木 高広

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