5月29日

先月のコト。
私の友人がお店のオープン祝いを兼ねて、わざわざ千葉県から足を運んでくれた。
その友人とは中学の同級生で、その頃はお互い、ただの野球少年でしかなく
オシャレをするとか格好つける事に対しては、僕は少し興味がある・・程度で
友人に関しては全くと言って良いほどな感じだった・・・。
高校生になってお互い別の道へ進み、彼は東京の高校に進学をした。
相変わらず野球一筋の僕だったが、驚くべきことはその友人の変化だった。
たまに逢う様になった彼は見違えるほど格好つけていて、
東京のお洒落と言われる服屋で買い物なんかをする男になっていたのだ。

部活を引退した高校3年生の夏休み頃から、いざ一緒に買い物へ行こう!
となった時、僕は待ち合わせ場所の原宿ラフォーレすら知らなくて、自分のダサさに驚いた。。
それからというもの、洋服にうとかったはずの友人はある意味ファッションリーダー。
原宿・渋谷・代官山などへ買い物に一緒に行くようになり、
雑誌に載っているようなお店に、次から次へと連れて行ってもらった。
家でファッション雑誌(当時はsmart・メンズノンノ等)を穴が空くほど見入っては、
またお気に入りを探しに出かけたり、どこの店の何がイケてるだとかそんな事ばっかり。
それくらい洋服やファッションに対し、一緒に情熱を傾けていた友人の一人だった。

そんな友人(32歳)も今は結婚して2児の父親。
夢のマイホームも建てて、趣味はサーフィン。理想的な暮らしだ。
けれど、男として夫として父として様々なモノを背負いながら日々を送っている。
私が独立し、店を始めるという話も以前から彼にしてきた。
あれほど洋服好きだった彼の事だから、
また服の話で盛り上がりたい・・そう思っていた。
電話の向こうの彼の話だと、今では昔ほど服を買うようなことは殆ど無くなったと。
勿論、生活が第一優先なのは当たり前であって子供の事を考えると、
自分の着る洋服などは二の次になってしまい、仕方なく大手のチェーン店で購入しているとの事。。。
理由は痛いほど分かるので、そこにとやかく言うつもりもなく聞いていた。
ただ、あれだけ服が好きだったことを知っている分、少しだけ寂しくもあった・・・

そんな彼が、忙しい仕事の合間を縫ってまで、店に来たいと言ってくれた。
それだけで単純に嬉しかったし、自分が想い続けた夢の形を見せたかった。
むしろ、遥々来てくれたことだけでも感謝だ。
そんな友人は店に入るなり、間髪入れずに服を吟味し始めた。
そして、今日は洋服を買う!と言い出す始末・・・
きっと、私がお店を出店した事に対しての応援の気持ちで言ってくれて
いるんだろうなと有難かったが、彼の口からはそれ以上に嬉しい言葉が出てきた。

彼は普段はスーツを着て仕事をしている。
私服を着る機会は週末の土・日のみ。
けれど彼は、
「そのたった2日間かもしれないけど、自分の良いと思うお気に入りの服を着て、お洒落をしたい。
それだけでもモチベーション上がるよ!」
「あと・・・お父さん格好良いねって言われたいしね。」


その後、店内の様々な洋服を試着している彼の笑顔は
以前、私と原宿に買い物に行っていたあの頃と何ら変わらずで、
なんだか懐かしくもあり、変わらずに服が好きだったという事が嬉しくもあり
何としてでも買おうとしている服バカな姿に
様々な感情が溢れ、なんだか胸に込みあげるものがりました。
その後はひたすら、彼の好みと着回しの効くアイテムを提案しては試着。
試着しては『良いねぇー』を繰り返し、その中でも納得のいくものを選んで頂きました。
僕自身も、洋服を通じて人が笑顔になったり、普段の日常をほんの少しでも幸せにするお手伝いが出来る。
服ってそういうモノだ。という事を、改めて再確認出来る一日となりました。


友人が帰ってから数日後、メールが届いた。
「今は、週末にどんな格好をしようか考えるのが楽しみでしょうがないよ。」と


世の中にこれだけ多くの洋服を扱うお店がある中で、
人を心の底から幸せにする事の出来るお店や人は
どれだけあるだろうか...
コンビニのような感覚で洋服を扱い、売れなければすぐにでもSALE
モノの価値感なんて二の次で、
そんな店が世の中に溢れている気がしてならない...

rasikuは洋服を通じて人と服とが繋がり
服を着る事が楽しくなったり、いつもの日常がほんの少し幸せな気分になったり。
そんなお手伝いが出来るお店でありたいと思ってます。
いつになっても着ていたいと思う様な洋服を。心をこめて。

そんな4か月目の店主の独り言...

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