みちのくあかね会

rasikuがオープンして、昨日(29日)で9か月が経ちました。
まだまだ、自分達の目指す形とは程遠い現状ではりますが、それでも・・・
これまでに沢山のお客様と出逢い、自分達は好きな事をやっているのに有難うと言って頂ける。
こんな幸せな事は他に無いんじゃないかと思う程、有難く感じています。
一歩一歩、前に進みながらも沢山の方に支えられているという大事な事を忘れないように。
そう思った9か月目です。

そんな中、お店を盛岡という土地に出すにあたって、『いつか必ず』と考えていたことがあります。
洋服屋をやる以上、洋服に関わる事で小さなことでも地域に貢献したいと思っていました。
そんな時に、たまたまというか必然と言えばよいのか。
お客様との「ご縁」で、岩手県の地場産業である「ホームスパン」と関わりを持つ事が出来ました。

「ネクタイ・・・ってどうですか?」この一言から始まりました。
お店に何度か来て下さっていたお客様の一人、Kさん。
すらっとしていて、とても気さくで上品で、素敵だなと思っていました。
聞けば、みちのくあかね会にお勤めでホームスパンを織っているとのこと。
お話する中で、手仕事に敵う物はない・・・ただそれを実際に販売したりすることは
とても大変な事だと。大量生産、大量消費の現代社会では、昔ながらのやり方では
続けていくのも大変だと。とても共感する部分と、改めて自分達の暮らし方や
身の回りの物一つとっても、どこで何を選ぶのか・・・を見直すきっかけにもなったのです。

何度か店でお逢いし、丁度自分達も岩手の手仕事に関するものを扱いたいと思っていたこと
そして秋冬のメンズスタイルの打ち出しに、小物・・・特にネクタイがあったら良いなと構想を練っていた時に
絶妙なタイミングでKさんの方から「ネクタイも作っているんです。どうですか?」とお話があったので
まずは、お話を聞く事と実際に作っている場所を見てみようという事に。
こうして想いが形へとゆっくり動き始めました。



実際に作っている現場に着くと、そこは見るからに歴史を感じる木造平屋の建物。
隣には中学校があって旧校舎かなと思いましたが、昔は病院だったとか・・・。
とにかく雰囲気ある建物に入ると、担当の方がすぐに丁寧に案内をして下さりました。
見学の子供たちも何人かいたような・・・
原毛から染色、紡ぎ、織る。。間間にはもっと細かい作業があるのだとは思いますが
見れる範囲で、一つ一つの工程をじっと食い入るように見てしまいました。
製品として世に送り出されるまでに、これだけの手間と時間を掛けて形になって
私達が実際に手にしたり見たりする、お店に並ぶのだなと・・・
実際に生地が出来上がっていく様子を目の当たりにすると
当たり前のことが、本当はすごく貴重で幸せな事なんだと痛感するほどでした。

何年も服に関わってきながらも、自分達で服を作るわけではないので
実際にモノが生まれる生産過程を直に見てみたいとは、兼ねてから思っていたこと。
それはメーカーさんにもお話したことがありますが、まだ実現できていなかったので
その事もあって、こうして人の手によって羊毛が糸になり、織り機で生地になっていく様子が
自分達の店にある洋服も、ある意味こうして作り手と使い手への想いが繋がって並んでいるんだと・・・
より大切に洋服を扱い、きちんと提案したいと思う気持ちが強くなりました。。

資料より 抜粋
ホームスパンとは、原毛を使用した手紡ぎ・手織りによって生み出される製品の事
みちのくあかね会では、本場英国の原毛を輸入し使用。
気候風土の違いでしょうか。羊毛は国産のモノもありますが品質でみると
やはり英国産のモノに敵わないのが現状です。
すべてが機械にとってかわられるこの時代にあって、それでもかたくなに路襲される
手づくりの服地。今日、人の手を経ることほど高価で豊かなものはないかもしれません。
機械による大量生産の立場では、あなたが身につけるものは、すでに作られた何種類かの範囲の中から
(もし、本当に気に入ったものがたとえあったとしても)選ばされてしまいます。
しかし、織座のホームスパンは一人一人のお客様の個性が思い描いたイメージを実現のものにいたします。
選択するのではなく織りあげるのです。


みちのくあかね会では、服地からストール・マフラーやネクタイから、手にし易い小物入れなども作っています。
ですが、話を伺うと実際に購入される方は遠方から訪れる方々、特に年配の方が多いとのこと。
実際にネクタイやストールに触れてみると、ウールでも柔らかくて軽く、その独特の色と風合いは
手織りならではのもの。男女・年代問わず、使用し続ける事で良さを実感するはずなのに・・・。

始めて訪れたのは、暑くて暑くて汗もとまらない夏の日でした。
暑い部屋で黙々と手を動かすおばあちゃんの姿と、ぱたんぱたんという織り機の音。
色んな思いを抱えながら、実際に取扱う時にまたお伺いします。とその場後にしました。


何でも手に入るスーパーや駅ビルは便利だけど、せっかく伝統的な技術や「昔ながら」が残る街でもある盛岡。
一歩外へ足を運び街を歩いてみると、地元のモノを取り扱う素敵なお店が盛岡には沢山ある。
それを知らずに暮らしていくのは少し・・・結構、寂しい気がしている。
というよりも、僕たちはそういうモノに触れて暮らす事ってなんかいいな、楽しいなと思っている。
なので理想は、地産地消のように 地元の人が地元の産業を愛し応援する街。
ホームスパンを取り扱うお店は市内にも色々あるのですが、そういった所とはまた見方が変わるような
僕たちはセレクトショップとしてのアプローチで、地元の人が、特に僕ら20代~30代の人が
地元の物を当たり前のように身に着けていたら、素敵だなと・・・


ほんの少しではありますが・・・
ネクタイとブローチ。大切に、作る方の想いも伝わるように・・・

お店の近くにある和菓子屋の「梅月堂」さん。今年で創業100年。
お団子・大福。。。なんでも美味しい。
昨日は、近くの果物屋さんでりんごと梨を買いました。
とても美味しくて幸せな気持ちになりました。
朝は、cartaさんでコーヒーを飲みました。偶然のばったりもあって
朝から沢山の笑顔が見れました。
全てとはいきませんが、お団子・果物・コーヒー・・・
それぞれ、お気に入りのお店がある事って幸せな事だと思います。

街歩きをして、小さなお店を巡ってみる事も
改めて地元の良さを気付くきっかけになるのではないでしょうか。
長々と書いてしまいましたが、2か月ぶりの店主の独り言でした・・・

明日10月31日(水曜日)は定休日となっております。
どうぞ、宜しくお願い致します。

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