夏休み その①

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先週は少し早い夏休みを頂き、東京出張を兼ねて社員旅行を満喫してまいりました。
今回の行先は「栃木県」
僕自身、大学を卒業して就職し直ぐに転勤を命じられたのですが、その最初の勤務地が栃木県の宇都宮市。
22歳で初めての一人暮らしする事もあり、喜びと愉しみ9割、不安は殆ど無く・・・溢れる期待を胸に
この土地に降り立った日の事を今でも鮮明に思い出します。
22歳から約2年半過ごした場所へ、ちょうど10年の年月が流れた今、久しぶりに足を運んでみたくなり
その当時の感性と今の感性とを擦り合わせてみたい気持ちで、その土地へと向かったのでした。
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宇都宮の中心に位置する商店街「オリオン通り」
私の好きな歌手の一人、”斉藤和義”さんの歌の題名にも使われている事で有名。
当時は「オリオン通り」=栃木の渋谷 と言われていた通りです。
それともう一つオリオン通りを抜け横断歩道を渡ると、「ユニオン通り」と言われるアーケードが出てきます。
当時は「ユニオン通り」=栃木の原宿と呼ばれていた通りで、どちらのアーケードも其々の”味”と”色”があり
それがとても新鮮に感じて、休日に足を運んでは少しずつ新しいお店を開拓していきました。
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20代前半をこの土地で過ごしたのですが、当時は「マニアックな古着屋」が多く点在していた印象があります。
東京で古着屋を経営されている方が宇都宮にも商品を買い付けにくる。と言われたくらい古着の穴場で
両アーケード内を賑わせていた数々の古着屋。レギュラーと言われるものからヴィンテージまで幅広い品揃えで
仕事の休みの日になると、半日かけてこの通りを行ったりきたりして洋服にどっぷり浸かっていました。
当時の僕は特にインポート物に魅せられていた時期で、BIRKENSTOCK・INVERALLAN・Barbour
PATAGONIA・DANNER・USA CONVERSE・アメリカ物からヨーロッパ物などを買い漁っていました。
とは言え、まだその頃はそういった類の背景や本質などは二の次で、殆ど理解せずに購入。
勿論、店員さんはあれやこれやとウンチク等を交えて教えてくれていたのですが、手に入れる喜びが先で
その物がどういった物であるのかは、あまり頭の中に入っていなかったように思います。
何となく雰囲気が良い感じがする・・・が基準の僕の服選び。
買ってきた数々の服は、今思い出しても素晴らしいモノであったのは間違いないですが
それが似合うとか似合わないとかそういった次元ではなく、完全に服に着られていたという表現が
当時の自分には当てはまる気がします。
その中でも、今でも印象に残っているのは”Barbour”のオイルドジャケット。
洋服にオイルを浸み込ませているという衝撃。強烈な匂いと対峙しながらそれを一所懸命着て出掛ける
手に独特の匂いが付くのを我慢しながら・・・それでもファッションはある程度の我慢が必要だ!!
という業界の教えをあの頃は忠実に守っていた気がします(笑)
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僕にとっては洋服をより好きにさせて貰えた貴重な時間でもあり土地でもあった「宇都宮」
今回訪れてみて、僕が知る限り当時と同じように営業を続けていたお店はオリオン通りに1店舗、
ユニオン通りに1店舗の2店舗のみ。
時代の流れや郊外型のショッピングモールなど複雑な事情が絡み合い、お店を閉じられた方が大半だと思いますが
そんな中でも2店舗の靴屋さんだけは、当時と何ら変わらずお店を続けていて何だか嬉しくもあり、
同時に、商売を続けるという事の難しさを改めて感じました。
当時からその2つの靴屋さんは外観こそ普通な感じでしたが、品揃えがとにかく凄かった。
こんなお店に・・・と言えば失礼ですが、他とは全く違う品揃えで、売れる売れないという判断ではなく
その店の店主が、良いと思い選んだ品を提案するという意気込みと信念が感じられたお店でした。

そういった品揃えは時代の流れやトレンドに左右されることなく、お客様に支持され続けるのだと
言葉では理解しているつもりでしたが、現実を目の当たりにしてより一層強い確信に変わりました。
10年以上お店を続ける難しさ。何かの資料で見たのですが10年お店を続けられるのは僅か一握りで、
日本全体で見てもほんの数パーセントでしかなく、それ以外のお店は何らかの理由で閉店しているとの事。
そう考えれば、10年振りに訪れた宇都宮。
殆どのお店が無い事が当たり前で、ある事の方が逆に奇跡みたいな事のかもしれません。
それでも、その街に存在する様々な個性豊かな個人のお店によって、その街に「味」や「色」が生まれ、
街の面白味となり、文化として繋がっていくのだという事も、改めて意識する必要があると感じました。
僕自身が店を持つようになり、街と店の関わりに強く興味を持つようになりました。
最近は様々な土地に足を運ぶ事で、その街の色を肌で感じる事が出来、それが愉しみの一つでもあります。
こうすることで、どうしたら自分達らしい色を出せるかにも繋がっていくはずだと思っています。
良かれ悪かれ、色々と感じた宇都宮での時間。
旅はもう少し続きます。

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