2月29日

4年に一度のうるう年。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

白鳥たちが長旅に向けた飛行訓練をする様子を眺めながら
僕たちも、旅立ちの準備をすすめていました。
旧正月の、ある意味スタートの日でもあった2月10日に盛岡を出発し
大きな荷物を運ぶ本引っ越しは14日にと、二回に分けての引っ越しを無事・・に?
なんとか、無事に!終えまして、いま、新天地での生活がはじまって半月が経とうとしています。

盛岡でもなかなかに古ぼけた家に住んでいましたが、二宮でお借りして住まいとなった家も
同じくらいの年数が経過している建物なので、古い家ならではのあるあるが次から次へと
押し寄せてきます(笑)1つ修理が終わるや否や、目覚めたかのように別の所で不具合が。。。
最初の1週間は、慣れているとは言えあまりにもイロイロが巻き起こり過ぎて
記憶が飛ぶくらいに気持ちが不安定だったのですが、その不具合にも慣れてきたのと
一先ずはちゃんとした食事と睡眠ができる状態にはあることも大きくて(大事)
気持ちに余裕が出てきたのか、こうしてBLOGも書けるようになりました。
そんな訳で、今の場所からのお便りを少しずつお届けできればと思います。

自宅の横道を抜けて、ちょっと急な階段を下っていくと、ものの3分で目の前は海です。
晴れた日には右手に箱根の山々が見えて、由利本荘を彷彿とさせるお気に入りの場所。
想像していたよりも、まだまだ寒くて風も冷たくて、すっかり南国ムードを想像していた
僕の感覚は大きく外れ、箱根方面は雪が降ることを思い出しました(笑)
それでも朝起きると太陽の陽射しが身体を包み、ビタミンDとパワーを補給。
気分が晴れなかったり、リフレッシュしたい時には海に行くのが日課となりました。
我が家のねこも、早々にハプニングがありましたが、何はともあれお日様の当たるいい場所で
コロコロしたり、気持ち良さそうに寝てくれてます。食欲もアップしています。(春だから?)
ネコもひとも、みんな元気です。

ちなみに、僕がほぼ毎日散歩に出掛ける梅沢海岸は遊泳が禁止されているエリアで。
湘南をイメージするような遠浅で砂浜が長く続く。。。という訳ではなく急に水深が10mぐらいになる地形。
サーフィンやマリンスポーツをする方々はもうちょっと東寄り、平塚や茅ヶ崎方面へ行かれるそうです。
その代わりに、水深があることで釣りスポットになっている梅沢海岸。
朝からお昼前くらいまで、小さな防波堤には釣りをする人がずらりと並んでいたり
釣り竿を持って波打ち際を歩く人が、おもむろに糸を投げる姿は見ていて豊かさを感じます。
釣り人の方に声をかけてみたら、この辺りでは今は太刀魚が釣れると!
せっかく近くに住んでいるので、海釣りをする。は早々に実現したいなと思います。
更に、砂地ではなく砂利が大半を占める海岸なのでビーチバレーは出来ません。が、
良い石がありますよ~。丸さが好みなものがありすぎて、散歩の度にぐっと我慢しながら
その日のとっておきだけを拾ってきたり。

まだ暮らして半月の場所。
春の気配もあってか、そわそわふわふわした部分と、少しずつ落ち着いてきた部分と
はじめましての気持ちと。ご挨拶をするように町を歩いています。
もう一カ所、ご紹介したい景色があるので、続きはまた。

1月29日

みなさま、お元気ですか?
雪のない盛岡。冬の風物詩、白鳥たちは少し前から大所帯で富士見橋のそばを寝床に
のんびりと過ごしていますが、なんだか旅立ちも早そうな気配です。
いつもの景色やリズムとは異なる、春のような1月に、ちょっと拍子抜けだったり
物足りないような感覚でお過ごしの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
出来れば、穏やかな冬を楽しんでいてくださったらいいなと思っています。

僕達は1月14日にお店をCLOSEしてから、約2週間。何かを振り返る暇もなく
勢いのまま、お店と自宅の片付けを並行しながらの日々を送っておりました。
12年間蓄えてきた様々なものたちに唖然としつつ、この短い期間にリサイクルセンターと
自宅を何度も往復しながら、時々腰のダメージを癒すために温泉に通ったりしていました。
お店の方の様子は、昨日仲間の力も借りて、無事に全ての什器を搬出し終わりました。
真っ新な空間に感謝の気持ちで、ピカピカにしてお返しできたこと
昨日がとても良い天気だったこと、最後まで清々しい心持ちでいられてよかったです。
あらためて、気持ちを寄せてくださった多くみなさま、ありがとうございました。

そして、1月29日は12年前にrasikuがお店をオープンした日でもありました。
12年間もこの地で洋服を販売出来たことを、温泉に浸かりながら振り返ったりもしてみたのですが
月日があまりにあっという間に過ぎてしまったような気がして、あまり思い出せません。。。(笑)
ただ笑い、喜び、時に落ち込んだり、怒ったり、悲しんだり、人間としてのありとあらゆる感情を
この場所で体感し、かけがえのない経験と出逢いと時間が今の自分を作り上げているのだな
ということは、実感せずにはいられません。

盛岡から場所は変わりますが、何か物事や考え方が大きく変わるということはないのかなと思います。
未来が僕に期待していることをただひたすらに受け入れ、その要請に対して誠実に応えること。
人それぞれに異なる小さな1つ1つの選択をしたり、感じたり、考えたり、心を震わせたり
その積み重ねが唯一、他にはない、自分だけの道へと繋がっていくのだろうなと思いますし
それが交差したり、滲んだり、響きあったりもして、自分の世界が彩られていくこと。
そんなささやかな日々を今日もこれからも変わらずに、わくわくしながら生きていきたいです。

二宮町での暮らしが、まだはじまってはいませんが、面白くなることは間違いありません。
次のお店は6月オープンを目標に、これから少しずつ内装のことなどを考えたりしながら
その土地が持つエネルギーや風土を感じられるような場所を作りたいと思っています。
こちらのBLOGで不定期的に、店舗の進捗状況や二宮町の魅力をお伝えしつつ
またお逢いきる日を心より楽しみにしています。
引っ越しの日に大雪にならないことを祈りつつ。。。

新しい場所へ 最終回

2024年1月14日、盛岡ではじまったrasikuの営業は、本日が最終日となりました。
小さなビルの二階にひっそりと、まったく何も分からずに勢いのままにスタートした洋服屋が
縁あって関わってくださった周りの皆様のおかげで、12年間もお店を続けられたこと
どれだけ言葉にしても足りませんし、今は感情も言葉もまとまらないのですが
とにかくたくさんの方々のお顔が思い浮かんでいます。

心強い伴走者cartaさんの出張喫茶とともに、いつも通りにオープンした今日も
たくさんのお客様にお運びいただきまして、本当にありがとうございました。

とにかくずっと自分たちが洋服と人生を楽しむことで、目の前の誰かひとりでも
ちょっとハッピーに、心が晴れやかになってくれたら良いなと思いながら
毎日変わらずに、お店を開ける。ということを続けてきました。
積み重ねでこれだけの時間を皆様と共有しながら、笑い合って過ごせたことを
今後も変わらずに、続けていければと思います。



BLOGを楽しみにしてくださっているという言葉を度々いただき、
正直一番自分の中で苦手としてきたBLOG・文章を書くということも
続けていると、興味を持っていただけたり、楽しんでもらえるんだなと
とても励みになりました。
引き続きHP内のBLOGは、マイペースに更新を続けていこうと思いますので
新しい場所の景色や、おすすめの場所、次の店舗の進捗状況などなど
お暇な時にでもちらっと覗いていただけましたら幸いです。

それでは、また何処かの場所でお逢い出来ることを、とても楽しみにしています。
みなさまと、みなさまの大切な人・生き物の続く毎日が美しく幸せでありますように。

新しい場所へ 3

不動産屋さんの車で昨日見たばかりの物件に再訪問。
到着すると、丁度その物件の横で立ち話をされている方がいらっしゃって
お会いしてはいないけれど、きっとあの方が大家さんだ!と瞬時に思いました。
直感は合っていて、車を降りてすぐに大家さんともご対面。
お話を伺うと、元々はこのお家で生まれて長らく住まれていたとの事。
何年か前に隣に新しくお家を建てられ、賃貸物件となった方には何組かの方が入居されましたが
ここ一年ほど空き家になっていたそうです。

大切に管理されていることが建物からも伝わってきましたし、またここから人が住み、風が通り
出来る限り手を入れることで、またこの建物の年月が刻まれていってより良くなるイメージと
穏やかに心地よく人が行き交う空間になる絵が、自然に頭の中に思い浮かんでいました。
勝手に受け継ぐ様な気持ちで、大事に使わせて頂きますと何度も胸の中で想いを馳せつつ。
とてもとても大きい物件なので、元々は二宮に来るまではお店は一旦閉店するつもりでいたのですが
運命的な物件と出逢ってしまったこと、盛岡での12年間の経験をより良い方向へ活かしていこうと決め
2024年からは神奈川県の二宮町という場所で小さく再スタートすることを決意しました。

お店として動きはじめるまでは、準備のための時間が必要となるので
引越してすぐにオープン!とはなりませんが、今のところ店名とHPは継続して
店舗としての詳細や、自分たちの近況等は少しずつお伝え出来ればと思っています。
3部編成までにして、あれこれ綴ってしまいましたが、文章も練れば練るほど
きっと自分の気持ちとは離れていってしまうような気がして・・・
最後まで載せるかどうか迷いましたが、BLOGを見てメールをくださったりご来店いただいたり
お伝えできていなかった方々への御礼の気持ちのご挨拶とさせていただければ幸いです。
でも、長いので忘れてください。(笑)

以下を持って、大切なみなさまへのご挨拶とさせていただきます。

/

rasikuは、2024年の1月14日もって現店舗は閉店いたします。

2012年1月から今まで、およそ12年間、たくさん応援していただき守っていただき
自分がやりたい事を楽しく続けられた事、rasikuに関わって下さったみなさまに
心からの感謝をお伝えしたいです。ありがとうございました。

出来るだけ、今の自分達の考えと気持ちがまっすぐ届くように、BLOGではなく直接店頭でお伝えすることを
選んできたので、こちらでも大袈裟にならずに気持ちを整理しつつ、新しい場所のことを書かせて頂きました。
次に移り住む土地で自分自身の身体と心の持ち様がどのように変わるのか、とてもわくわくしますし、
まだ出逢った事のない感覚や感性に触れながら、面白いことを表現出来るように日々の生活を楽しみたいと思います。
次選んだ場所でも、沢山の方にお逢いできることを楽しみにしています。

rasiku  佐々木 高広  恵

新しい場所へ 2

あまり形を決め過ぎず、大きな期待を持ち過ぎず。
出逢えたものに仕事も含め暮らしを合わせよう!と、11月下旬に物件を探しに出掛けました。
(気になる物件を前もって数件選び、不動産屋さんにアポイントを入れて)
盛岡から新幹線で東京へ。東京駅からは東海道線に乗り換えて1本。時間にすると1時間10分。
僕が20歳まで過ごした大船を越えて、藤沢・辻堂・茅ヶ崎・平塚・大磯、そして二宮。
久し振りに乗車した東海道線に揺られながら懐かしさと、物件は見つかるのだろうかという
不安なような分からなくて高鳴る気持ちを抑えつつ、車窓からの街の風景を眺めていると
平塚を過ぎたあたりから、景色というか空気が変わったことに気付きました。
良い意味でのんびりとした空気。自分のイメージしていた海と山に挟まれた街並みそのもので
その空気を感じた時に気持ちが少しだけホッとした所で、二宮に到着。
因みに大磯・二宮は快速電車は停車しませんので、乗る際にはご注意を!!

盛岡を出た時の気温が0℃くらいだったので、駅を降りた瞬間あまりの暖かさに
逆に身体が驚いて、コート・巻物、何を脱いだら適温か慌てるほど。
小さな駅を降りると、店先で元気いっぱいに呼び込みをする果物屋さんが目の前にあって
道行く地元の方が買っていく。直感的に良い町だなとおもいました。

アポイントを入れている不動産屋さんを目指して歩く。
徒歩10分ぐらいでしたが、少しだけ路地に迷って着いた頃には既に少し汗ばむくらいの気温。
事前に希望をお伝えしていたのですが、条件的にも厳しいと言われていたので
期待はせずに、だけど、何処かには隠し物件があるのではないかという淡い期待。
ただ現実はそう簡単ではなく、小さな町故に物件数そのものが少ない。。。
気になる建物があれば、周辺の方に直接聞き込みをしていったほうがいいという話を
立ち寄ったカフェの店主さんに教えて頂き、場所は変われど同じなんだなぁと納得でした。


ただ予想だにしないカタチで、僕たちが理想としていた物件に出逢えることが出来たのです。
それはずっと二宮町の空家バンクに掲載されていた家。
築80年の8LDKという、あまりにもBIGな物件。
間取りと画像だけでは、そこまで惹かれる感じではなかったのですが
中へ入ると、何だか少し運命の糸を感じるというのか。面白くなりそうな空気が充満。
日本家屋のそのままの平家と、後側に増築された二階建てで構築された少し不思議な建物は
2階に上がると太陽の陽射しが降り注ぎ、二宮の海がちらりと覗ける。猫も気持ちよく寝られそうです。
ちょっとした建具が可愛くて、古い家ならではの余白があって、条件としては申し分ない建物。
お店を続けるかは、先ずは物件と、そして家賃次第と思っていたので、気持ちが一気に傾きます。
その日は一旦冷静になろうと、実家に帰って眠りにつこうとしても、脳の興奮が抑えきれずに眠れないまま朝に。
翌日もアポイントを入れていた不動産屋さんに行き、色々お話をしていくと、担当の方が他の物件よりも
昨日見たその物件が一番希望に近いのでは?それなら…と、大家さんに直接会わせて頂ける事になりました。
それもなんだかとてもスムーズに。
これはもう、ここしかないのではないかという、ある意味では運命を感じた瞬間でした。

                                     つづく

PageTOP