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rasikuがオープンしたのは2012年1月29日
勝手に良い服の日と語呂合わせをして、店内に洋服が殆ど揃わないままに迎えたはじまりの日。
その日のことは天気や温度から、お客様の顔まで、今でもはっきりと鮮明に覚えています。
丸5年という月日が流れましたが、自分の中の一つの目標として盛岡という土地にある洋服屋として
しっかり根付くというか、認知されるように取り組んでいくと決めて日々を積み重ねてきました。

自分が思い描いていたオープンから5年経った店の姿と、現実としてある今とは当たり前かもしれませんが
良い意味でのギャップがあって、もっと達成感とか1つの節目を迎えた喜びがあるのかなと思っていたのですが、
案外あっさりと冷静に通り抜けた感覚があって、嬉しいのには間違いないものの、大きな充実感を感じたり・・・
という事はそこまで無かったのが、いざ5年経ってみての発見でした。
まだまだ至らないところだらけでもありますし、やってみたい事や取り組んでいきたい事が沢山あり過ぎて、
小さな節目ではあると感じたものの、通過点に過ぎないんだなと実感をしている所でもあります。
どんな事にせよ、10年やって一人前と認められるので、言ってみれば5年という月日はようやく半人前になった
ぐらいなんだと思っています。

独立すると決めてから5年お店を続けてみて半人前なりに感じた事は、短い期間で決着をつけるような
勝負の世界や、誰かと優劣を比べるようなものではなかったという事。
良い刺激を与えてくれる仲間はいますが、余所を意識して誰かの顔色を窺ってやる様な事はないのだと、
実際にお店を運営する中で、僕自身の感覚としてはその意識が強く明確になった様に思います。
それ以上に、課した課題や高い壁を自分自身でどう乗り越えていけるのか・・・という事や、
変わることもあれば変わらないことも両方あるのが当たり前で、すべては自分次第。
己自身との葛藤を繰り返し、バランスを取りながら折り合いを付けながら、ちょっとずつでも前に進んでいけるか
どうかが″続ける″という事に繋がってくるのだと思います。
スタートしたからには半永久的に続くゴールテープのないマラソンを走り続けるイメージ。マラソンはどうも苦手ですが。笑
調子の良い時もあれば勿論悪い時もあって当然で、その大なり小なりの波を創意工夫を凝らし、
出来れば面白がりながら、洋服に対する情熱と熱意で乗り越えてやっていく以外に無いと感じています。
答えはとてもシンプルで、だからこその奥深さと難しさがあります。辛い時もありますが、それ以上の喜びや、
醍醐味を心と体でしっかりと感じる事が出来るから、今まで続けてこれたのだなと思います。

次は10年を目標にと言いたい所ですが、先を見据えて行動するのがどうも苦手なようで、
いつも風に身を任せて、思い立ったらすぐ行動したい派で、そこが良くも悪くもあるのですが。
盛岡の四季折々の美しい景色を見たり、美味しい空気の中で深呼吸して、そんな環境の中で毎日を
過ごしていたら、結果、10年経っていた・・・くらいのスタンスで続けていられるのが理想かもしれません。
その頃には頭にちょっと白髪も混じって、少しでも色気が出ていたら良いな・・・なんて想像をしています。
盛岡にはお客様から10年、15年、20年とずっと愛され続けているお店があったり、色んな分野で淡々と
自らの道を突き進む、諸先輩方が沢山いらっしゃるので、そういった方とも肩を並べられるかは分からないですが、
自分達もひとつのピースとして少しでも街に人に、刺激だったり、色を添えられるような存在になれたらと思います。
これからも自分達らしく、東北の小さな地方都市″盛岡″の街並みに似合うような、洋服の品揃えと提案をし続けて
いきたいと思いますし、多少のブレはあったとしてもしっかりとした″軸″を持って、rasikuというひとつお店が、
来て下さる方にとって気持ちがふわっと豊かになる空間であり、必要とする人がふと思い出して足を運びたくなる。
そんな場所になっていければと思います。
6年目のrasikuも、どうぞよろしくお願い致します。

2017.2.4  立春 

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