旅の記録 九州(熊本→宮崎→福岡)②


熊本市内に宿をとりました。少しだけ早起きして、ぶらりと散歩。
泊まったホテルのすぐ近くを川が流れていました。どんよりとした曇り空でしたが、なんとか持ちそうな気配。
数時間前に分かれた様な気もする、吉村さんと8時半に待ち合わせ。
本日の予定は今回の旅の大きな目的でもある、伺ってみたいとずっと思っていた場所へと向かいます。
その場所は熊本から車で更に南下し高速道路を使って約2時間15分の場所にある宮﨑県の都城市。
どんな場所なのか想像を膨らませつつ、その前に大事な腹ごしらえ。


「べんとうのヒライ」は熊本県を中心に、朝早くから手作りのお弁当やお惣菜を提供しているチェーン店。
店内でおうどんと、熊本県民のソールフード「ちくわの中心にポテサラを入れて揚げた天ぷら」を頂きました。
見た目にもかなりのボリューム。テンションが高かった為か、朝から揚げ物を食べる事は殆どないのですが
まさかのちくわおかわり・・・!ですが朝から高カロリーの油を摂取しすぎて、その後の2時間のドライブは
いつ何が起きてもおかしくない状況に陥ってしまいました・・・(笑)
平然を装っていましたが、旅による気持ちの高ぶりによる暴飲と暴食には気を付けなければと改めて思うのでした。


僕自身が一目惚れをして購入したTEMBEAのバゲットトートとSOWBOWの代名詞とも言えるイタリアンカラーのシャツ。
どちらにも共通している点が、今回お伺いをさせて頂いた”AULICO”さんが製品を染めている事でした。
TEMBEAのINDIGOのBAGUETTE TOTEは、千駄ヶ谷の本店に足を運んだ際にたまたま見つけて購入したのですが、
不定期に入る商品なので今思うと偶然の様で必然だったのかもしれません。
SOWBOWのシャツは太宰府天満宮で行われていたTHOUGHTという合同展示会で見つけ声をかけたのがきっかけ。
2つの製品は今の自分のワードローブには欠かすことの出来ない存在ですし、藍染や草木染などの所謂”天然染め”や
自分達が体験した染色のイメージとは少し違った感覚というか凛とした佇まいだと感じたことを覚えています。


AULICOの平原さんはご自身で染色や製品の洗いの作業をしながら、AULICOの店舗も運営されています。
TEMBEAをお店で扱うようになりAULICOさんのことを知り、何年か前に一度少しだけお話した事はあったのですが、
それから時間も経っていたので、改めてご挨拶をと思ったら、前にお客様のバッグを染め直しして頂いたことを
覚えていてくださいました!
どうぞどうぞと迎えてくださった平原さんに緊張は和らいだものの、店舗を見渡せば興奮は最高潮に。。。
都城へ向かう道中に吉村さんからもお話は聞いていたのですが、自分の想像を遥かに超えた場所と空間の作り方に
最初はあっけにとられてしまい言葉が出てきませんでした。
こんなにも痺れるお店に対面するのは、今までも数える程しかなかったと思います。
久しぶりにここは足を運んで実際に目で見て肌で感じない限りは、どんなに言葉で伝えても説明し足りないのと
見聞きするより絶対に行った方が興奮するので機会があれば足を運んで頂きたいと思います。なので写真も最小限で。
今までの経験では図り知ることの出来ない大胆さと繊細さを併せ持った特別な場所でした。
お店は何処でやるかも重要な事ですが、そこで何をするかが最も大切な事で、自分が好きで表現したい事を真摯に
本気で伝えようとする姿勢が人の心を動かすのだということを改めて教えてもらいました。


一緒にご飯でも行きましょう。とお誘いを頂いて毎週水曜日だけオープンしているというカレー屋さんへ。
市民センター?のような建物の前に突如現れたテントのお店がそのカレー屋さんとのことで再び度肝を抜かれる。
本格的なネパールカレーでお野菜とスパイスのみで作られたカレーは本当に美味しかった・・・
おかわりで辛いスパイス!?で漬けた何かをトッピングして頂き、それはまた違った味わいで素晴らしかったです。
雨の日は営業していないとの事でしたので、本当にラッキーが重なったランチになりました。


お昼を食べた後に市立図書館内にあるコーヒーまでご馳走になり、事務所兼工房を案内してくださいました。
お店からは恐らく車で10分もしない閑静な住宅街に工房はありました。
ぽつんと佇んだ青色のイスがとてもチャーミング。
工房の中で平原さんが施している染色方法や、洗いの工程に関しての違いなどを目の前で1つ1つ確認をしながら
時折実戦をして違いを比べてみたり。僕らのレベルでは分かるか分からないか位の繊細な違いの説明を受けながら
あっという間に時間は流れていきました。自分が今まで聞いてきた内容や想像をしていた事とはもしかすると捉え方が
違っていたのかもしれない・・・というお話が沢山ありました。こうして実際にお逢いして直接お話を聞く機会を
頂けたことにより、100%を説明するのは難しいですが自分の言葉で製品に対する意図や想いは今よりも深く客観的に
お伝え出来るのではないかと・・・
何が正解で何が間違いでという事ではなく、平原さんのやっている染色という作業はモノを作る上で小さな点で
しかないという事。素材の持っている力をより引き出すための創意工夫として、気持ち良く使って頂ける状態に
することを念頭に日々取り組んだ結果、商業的で効率を重視する考え方とは全く切り離されたやり方と方法に
いきついたという事を知れただたけでも、この場所に足を運んだ甲斐があったと言えると思いました。


最後は西都城駅周辺を散歩でもしましょうと声を掛けて貰い、街の情報を聞きながら4人でたわいもない話をしながら
川沿いをゆっくりと歩きました。小さな古い銭湯が近くにあったり、古い町並みがしっかりと残っていて
特に何もしていないのですが、そこに居るだけで心地良く感じられて好きな街と場所の1つになっていました。
次回は電車を乗り継いでお伺いしてみたいなと思いました。


夕方頃になり平原さんに別れを告げて都城市を後にして、今日の夜ご飯を食べに一路熊本へ。
熊本県の南部に位置する人吉温泉の近くにある鰻専門店「うえむら」
実は昔からうなぎがあまり得意な方でなかったのですが、吉村さんが絶対に美味しいからとお勧めして頂いたお店の1つ。
お腹が減っていたのも確かですが、今までの鰻のイメージがひっくり返るくらい美味しいうな重を食べる事が出来ました。
こんなに美味しい食事に辿り着くことができるのも旅ならでは。
心も身体も満足し熊本市内へ戻ります。
旅はまだ続きます。

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