山形・由利本荘 

わたしたちは出張SHOPにいつ行って、いつ帰ってきたのか。。。
記憶が朧げになるくらい、戻ってきてからの毎日も色々と出来事が濃密すぎて
昨日の定休日は、一切動きたいと思えずにひたすらに寝ることを優先しました。
大谷君もとにかく寝て、体力をリカバリーすることが一番大切だと言ってますしね。
その甲斐あってか、今日は心も体もどちらもしゃきっとした気持ちでお店を開けております。

さて、先週末ですね。
3日間お休みをして週末の二日間、由利本荘”nieuw”にて恒例になっている出張SHOPに行ってきました。
今回がこれまでと違うのは前日入りをして、一日フリータイムを設けたこと。
お世話になっている、みつばち店主・亮子さんが一度連れて行きたいと行ってくださった
秋田県のお隣、山形県の鶴岡市と酒田市の2つの街に弾丸スケジュールではあったのですが足を運びました。

途中、道の駅でトイレ休憩を挟みつつ、初めてくる街ということもあり僕のテンションが高め。
寄ったのは、道の駅・鳥海ふらっと(住所は山形県飽海郡遊佐町)で、庄内地方最北端の街。
目の前が海、そして北側は秋田の県境で鳥海山を有しているということもあって海・山の
両方に囲まれている街というのは、食も景色もとにかく豊であるというのは間違いありません。
道の駅の中にも魚屋さんが入っていて、鮮度が抜群で安い。その充実っぷりにワクワクしますし
知らない食べ物も沢山あって、亮子さんに聞きながらふむふむと知識を吸収していきます。
秋田と似てはいるものの、少しだけグラデーションと言うのか、全く同じということではなさそう。
見るからに新鮮さが伝わるイカ刺しやら、その場で揚げた魚のフライなど、言いだせばキリが無く
食べたいものが沢山あったのですが、お昼は予約しているので、ここでは相当な我慢をして
イカフライを1つだけ買ってみんなで分けて食べました。。。
画像にある笹巻は、今日食べたのですが、想像していた中身と全然違っていて、びっくり。
そういえば、岩手では”笹巻”も”ちまき”もあまり見かけない気がします。
気付いてないだけかもしれませんが、旅だと急に気になったりするのでそれも面白いですね。

由利本荘から車を走らせること、1時間30分位だったでしょうか。
予約をしていた鶴岡市にお店を構える“manoma”さんへ。
空間は適度に広くて、その時も絵の展示の会期中で、良い意味で整えられ過ぎていない空間に
青木隼人さんの音楽が心地良くかかっていたり、永井宏さんの言葉が目に留まったりで、
僕にとってはとても落ち着く感覚がありました。
ご飯は言うまでもなく何を食べても呻る美味しさ。酒粕を使ったデザートとりんごの甘酒を飲んで
発酵文化を味わいながら、腸内まで完全に仕上がりました。
言葉で僕がつらつらと説明するよりも、行けば分かるさ、と言ってしまいたくなるそんなお店。
予約をしてまで行きたいと思わさせてくれる、素晴らしい体験をしました。

もう1軒見てみたいお店があるとの事で、車をちょこっと走らせて着いたのは建物からも雰囲気の良さが
伝わってくる古道具のお店”時どき”さん。4月いっぱいで休業になるとの事で、駆け込みではないですが
お店に伺うことが出来て本当に良かった。
古道具と作家さんの陶器などを中心にした小さなお店ですが、1つ1つの商品の選び方と見せ方、
接客と流れる空気も、どこを切り取っても押しつけがましさが一切無くて、人とモノとの距離感が
とても心地良かったです。花瓶とディスプレイする細々したものを購入し、次の目的地に向かいます。

この日は生憎の雨模様。そして霧。
目的地の3つ目は、出羽三山の1つ羽黒山。
車でぐいっと頂上付近まで行けるので、今回は天気と時間と体力の都合上そうしたのですが
ふもとから頂上まで続く参道の石段2446段を、歩いてくるのも良いと教えて頂きました。
かなりの急斜面を車で上がってきて、ギリギリ雪がなくて安心はしていたのですが、
冬場は四駆じゃないと頂上まで上がってくるのは厳しいとの事。
バスも走る山道なので整備はされているものの、自然との関係性は表裏一体で、
簡単には近寄ってはいけない空気を含んでいたのも、パワースポットと呼ばれる場所
ならではのエネルギーを強く感じさせてくれました。

本堂は改修工事で正面からは入る事が出来ませんでしたが、中から繋がっていて無事にお参りも出来ました。
出羽三山に関して全くの知識が無い中で訪れてしまったので、3つの山には其々に意味があるという事。
過去(月山)・現在(羽黒山)・未来(湯殿山)と江戸時代に庶民の間で広がった生まれ変わりの旅。
そうなると、自然と月山にも行ってみたくなりますし、湯殿山にも訪れたくなるのは、こうして1つの
きっかけがあることによって、俄然興味が湧いてくるのです。旅をすることで、後々何かが繋がる瞬間が必ずあって
いつ繋がるか分からない点を打ち続けることを、これからも絶えず続けていきたいと改めて思いました。

亮子さんからまだまだ見せたいものがありますと。
ここまでも正直かなりのボリューム感。
羽黒山を出発して30分ほど車を走らせて目的地に到着。
この時点で時間は17時頃だったと思います。
目的地の「海向寺」は、目の前に酒田港が見渡せる高台に設置されたお寺。
全国でも唯一「即身仏」を2体拝めるという、希少な場所。
「即身仏」の知識を全く持っていなかったので、正直どんな事が起こるのか分からず来たこともあって
実際に見て説明を聞いていたら、自然と涙が溢れ、説明が出来ない気持ちの揺さぶりを感じました。
感情の置き所が見つからずにいると、お寺の受付に可愛い看板猫ちゃんが登場。
話しかけると寄ってきてスリっと挨拶をしてくれて、ようやく正気に戻りました。。。(笑)
もし酒田へ行く機会があれば、一度は見てみる価値があると思う体験でしたし、
どんな時代においても、苦しみから救われることを願って祈りを捧げるという事を
ずっと人はしながら生きていて、自分自身にとっての祈りということに対して
本質的な部分に触れられたような小さく大きな喜びがありました。

夜ご飯まで少し時間があったので、一瞬立ち寄った海向寺さんの目の前にあるヒヨリベーカリーさん。
映画「おくりびと」の撮影場所にもなったそうで、今は改修されてカフェに生まれ変わったそうです。
ここのクロワッサンが絶品だそうです。
時間とお腹に余裕があれば、カフェでゆっくり一息つきたいところでしたが
夜ご飯のためにグッと堪えて、とりあえず翌日?いつか食べる用のパンを幾つか購入(汗)

そして今日の食事処、味工房八月さんへ。
由利本荘への出張SHOPへ行く度に、酒田から遊びに来てくださるお客様が一度酒田で食事をと
お誘いをしてくださり、念願が叶った訳です。
港が近いということもあって、お魚料理が絶品。食べたことのない食材が次から次へと運ばれてきて
目の前にずらっと並ぶ数々のお料理。自分の中では5年分のお魚を摂取させていただきました。
サクラマスと呼ばれる庄内地方に春を告げる鮭のようで鮭とも違う、臭みの一切無い身は絶品。
まさか、煮つけと塩焼きのダブルヘッダーで勧めてくださって、お腹もパンパン。
地元に住んでいるからこそ聞けるお話もたくさんあって、楽しい宴はあっという間に過ぎていきました。

宿は山形ではなく秋田へ戻りつつ、にかほ市にある「金浦温泉 学校の栖」さんへ。
昭和55年まで「大竹小学校」として機能を果たしていたのですが、その校舎を改築して宿へと変身。
温泉も硫黄たっぷりの白濁したお湯と、ラジウム鉱泉の2種類がそれぞれ同時に楽しめるという
珍しいタイプの泉質で、温泉好きな僕としてはこれ以上ない喜びの宿。
更にサウナ(ロウリュ)付きというので、もう何も言う事はありません。
宿について、お風呂に入って、3秒後には深いねむりについていました(笑)
あまりに見聞きするものすべて密度が濃くて、心と体が満たされてしまって
明日からの出張SHOPに来て下さる方にきちんと接客が出来るかが心配になるほど
充実した大人の遠足でした。

メインイベントへ続く・・・

PageTOP