9月30日
rasikuをオープンさせたのは2012年1月29日
rasikuは合同会社(昔でいう有限会社の呼び名)で立ち上げたので会社として盛岡市に登録してあります。
今日9月30日で、会社としての運営は丸2年が過ぎました。
明日10月1日からは3年目を迎えます。
会社と言っても、私と嫁と2人で営業しているので極々小さな会社であることは一目瞭然です。
僕は大学を卒業して大手のアパレル会社に就職し約6年勤務(アルバイトの頃を含めると8年)
その後、札幌でセレクトショップを5店舗経営する会社で働かせて頂きました。
退職した後、半年後に自身の会社を立ち上げたのですが、2年と言う歳月を経て
今、改めて過去を振り返った時に「会社」という何気ない言葉の中にある、物事の大きさや
重要性に気付かされた気がします。
大手のアパレル会社に勤務していた頃は、世の中にファストファッションが丁度根付き始めた頃で
その流れに乗り会社は急成長。一部上場するまでの大きな会社となりました。
その成長に合わせる様に給与も上がっていたのを鮮明に覚えています。
アパレルという業種で考えると待遇も良く、ボーナスに関しても不自由がないくらい頂いていたのですが
毎月のお給料もボーナスも、それすら貰って当たり前という感覚が僕の心の中にはありました。
自分という存在を根拠もなく過大評価し「やっている」から当たり前。そんな考えで過ごしていたと思います。
今は、小さくとも会社を立ち上げ自らが全ての経営に携わるようになりました。
今の立場となり、やっと冷静になって当時を振り返ると、あの頃の自分が恥ずかしくもありますが、
それに気付けただけでも、自分にとって相当プラスな事だと感じてなりません。
「会社」があるからそこで雇用が生まれ、働く人がいて、その労働に値して「賃金」を受け取っている・・
という事を、当時の自分は口では言いつつも、深く考えてはいませんでした。
その頃から、そういった考えで仕事をしていれば・・・また違った人生があったのかもしれません。
その後、札幌で勤めさせて頂いたセレクトショップは、市内に5店舗を経営する小さくとも、
僕にとっては人生に多大なる影響をもたらせてくれた大きな大きな会社でした。
大手に勤めていた頃に比べれば給与と待遇面は少なくなりましたが、それ以上にやりがいと
洋服屋としての自分を客観的に見れた事も大きな収穫でした。
正直、今までの自分は何だったのか?と思う程、自分の無力さに愕然としましたが・・・
それでもお客様に洋服を提案し購入して頂けるからこそ、店も経営が出来、自分達が生活していける。
シンプルで単純ながらも、賃金という対価を頂ける有難さを心から実感出来た貴重な時間でもありました。
僕は自分の会社を立ち上げるまでに洋服を取り扱う2つの会社で働く事が出来ました。
20代前半を過ごした大きな組織の「会社」と、大手と比べると小さな規模の「会社」
どちらも洋服を扱う「会社」という共通点がありますが、全く異なる性質であるという事を
身を持って体感し、そこで培った様々な経験が今現在の僕の「財産」になっている事は間違いありません。
少し話は逸れてしまいますが、働くという事について考えていた時期がありました。
単純に考えると、生活をする為=食べて、寝て、遊んで、その為に働く・・・
色々と当てはまりそうな理由を並べましたが、どれも僕にはしっくりきませんでした。
ある時、何かの本を読んでいた時に働く事の意味について書かれた一説が目に留まりました。
その本には、働く事=人を幸せにする
すなわち”自分に合った仕事を見つけられれば必然的に人を幸せに出来る”と言った内容が書かれていました。
それを読んだ時に、自分の中でやりたい事・やらなければならない事、そして働く意義が明確になったのを
今でも鮮明に覚えています。
会社組織である以上は、利益を追求し世の中に還元する使命がありますし、それは大前提だと思っています。
ですが、僕はそれと同じくらい大切な事として「人を幸せにする」という事を追求したいと考えています。
たまたま幼少の頃から洋服が好きで、就いた職業も「洋服屋」で、いつしか自分の店を持ちたいと思う様になり
今、この盛岡という街で「洋服屋」をやっています。
ある意味、自分にあった仕事が出来ているので一個人としては幸せな毎日を送っています。が
会社として、店としてはまだまだ正直足りていない事ばかり。
洋服を通じて「人を幸せにする」と言うと聞こえは簡単そうですが、その為にはまず自分自身が
洋服を提案するという事と真摯に向き合う事から始まると思っています。
足を運んで下さる方々へ感謝の気持ちを持ち、rasikuで洋服を買って良かったと思って頂けるよう
日々努力しなければなりません。ネットで楽に物が手に入ったり価格競争の激しいショッピングモールが
これだけ普及し、それすらも珍しくは無くなった今の時代・・・だからこそ、それを逆手に
出来ることや、見えてくることが物凄くあると感じています。
ただ「物」を売っているだけでは「人を感動させたり、幸せにする」という事は
到底出来ないと思います。
会社として3年目を迎えるにあたり、目標も明確になりました。
地元の人が地元に目を向ける事の重要性。自分の街を愛し、誇れる事は街づくりに繋がる。
その為に自分の店が出来る事は外側からでも内側からでも、
自分が面白そうだと思ったら、まずは動いてやってみる事にしました。
そして、いずれは盛岡の方が胸を張って自慢して頂ける様なお店・会社(rasiku)でありたいと同時に
盛岡を地元の人が自信を持って自慢できる街にしたい。と思う気持ちが芽生えてきました。
盛岡には個人の素敵な楽しいお店が沢山あり、僕自身も自分が良いと思っているお店は
遠方から来たお客様にも、地元の方にも、紹介したりお勧めしたりしています。
まだこの土地に来てから数年しか経ってない人間が言うのも、大それたことかもしれませんが
そんな気持ちを地元の方に少しでも持って頂けるように、会社として日々コツコツと地道に積み重ね
成長していきたいですし、なんだか洋服って面白いな、良いなと思って頂ける様なブランディングや
商品の提案をし続けていけたら良いなと思っています。
明日から10月がスタートします。秋の装いが楽しくなるような空間作りをしてご来店をお待ちしていますので
1人でも多くの方が、洋服を通じて幸せな気持ちになったり、特別な気持ちになったり
変身出来たり、心地良く過ごせたり・・・それぞれが何か感じ取って頂けたら嬉しいです。