夏休み②

旅の続き・・・・。
宇都宮の街を散策した後は、旅の本当の目的?!でもあった宇都宮餃子を堪能しました。
閑散としていたアーケードとは反対に、さすが餃子の街と呼ばれるだけあり餃子屋は沢山あります。
その中でも有名店でもある、そのお店の前には夕方18:00頃でも既に長蛇の列が出来ていました。
餃子屋のハシゴを考えていながら、一件目で満腹に食べてしまい、止む無くホテルへ帰ります。
その日は宇都宮へ一泊。
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翌日、2日目は電車に乗って少し移動し那須高原へと向かいました。
宇都宮市内から電車で那須塩原駅へ行き、そこからレンタカーを借りて目的の場所へ。
車で走っていると、次第に記憶が蘇ってきます。観光地としても有名な那須高原。
道路を挟んで両側には、沢山のお店が立ち並びます。その数も増えているように感じました。
いざ向かったこの場所は、僕が住んでいた頃にはなかった場所で、本店には何度か足を運んだ事があり
ずっと一度は訪ねてみたいと思っていました。行かれた方からもお話は聞いていたのですが
聞くのと実際に行くのでは、当たり前ですが感じ方が全然違います。
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そこは沢山の木々に囲まれた素晴らしい空間でした。
入口のドアへと足を進める道は丁寧に手が行き届いた緑のトンネルを潜る様で、歩いているだけでも
既に身体が浄化される様な気持ちになりました。
“場所”や”お店”を作り上げる要素は様々あると思うのですが、外観・内装・スタッフ・食事・音楽‥
などそういった幾つもの条件が、1つに重なった時に素晴らしい”場所”や”お店”になると思うのです。
僕自身、この場所を尋ねてみたかった理由として当時訪ねていたこのcafeの本店での、
スタッフを含めた空気感の良さが鮮明に記憶に残っていたからです。
その中でも最も大切な条件は「人」。
そこで働いているスタッフ一人一人の意識の高さ、立ち振る舞い、服装にも統一感がありながらも
其々の個性が光っていて、きっと何よりこの”お店”が好きで働いているというのが感じられるのです。
だからこそ、この場所を好きで訪れる方が沢山いるのだと思います。
それらの好循環がこの1つの空間を創りあげているのだと、コーヒーを頂き空間に酔いしれながら
自分の中で勝手な想像を膨らませました。
凛とした空間、程よい緊張感と居心地の良さがそこにはありました。
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那須高原を少しドライブしながら、気になった場所へ幾つか訪ねてみました。
どの場所でもお店の方が気さくにお話して下さり、この土地の事も教えて下さったり
有難い事に、これから始まる展示の準備中にも関わらずOPEN PLACEの中も見させて頂いたり。
とてもとても貴重な時間を過ごしました。
ここ数年の間に那須高原で新たにお店を始める方が、少しずつ増えているとのこと。
元々の豊かな自然を活かしつつ、人が足を運ぶきっかけとなる場所を少しずつ少しずつ作り上げてきた街。
その街を彩る其々のお店や場所。そこには、独自の文化がしっかりと根付いているように感じました。
そこへ足を運ぶ人たちは、決して地元の人々ではないかもしれません。
それでもその場所が存在し続ける事で、いつか地元の人にも愛される場所になるのではと、
そんな風にも思うと同時に、前述のcafeの様な空間や、自然と共存しその自然を活かした街作り、
岩手でも出来そうなことが沢山あるのではないかなと、改めて感じました。
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最後は黒磯へと足を運びました。
町おこしの原点とも言えるこの場所は、やはり格好良く素敵でした。
何もなかった場所に、何かを作り上げる。
それは決して簡単な事ではないですし、長い時間をかけて積み重ねて作り上げるには
それ相応の覚悟と、根気がいる事だと思います。
その土地に根付き”色”となり、なくてはならない存在になるという事。
この街が好きで、この街でお店を続けるという信念を持ち続け、
ゆっくりと時間をかけて築き上げたお店や文化は、また次の世代へと継承され
さらに少しずつ変化を加えながら、より良いモノへと生まれ変わっていく。
それがまた波紋となり、ゆっくりと広がっていく。
僕が理想とする、街とお店の関わり方がそこには在るように感じました。
幸せな事に、盛岡の街には色が在ります。きっとまだまだ色は増えるとも思っています。
僕自身も、この街の彩りの中の一色となれるよう自分達が出来る事を、周りが何と言おうと
信じてやり続ける。ただそれだけ。
それでいいんだと、思える旅になりました。

夏休み その①

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先週は少し早い夏休みを頂き、東京出張を兼ねて社員旅行を満喫してまいりました。
今回の行先は「栃木県」
僕自身、大学を卒業して就職し直ぐに転勤を命じられたのですが、その最初の勤務地が栃木県の宇都宮市。
22歳で初めての一人暮らしする事もあり、喜びと愉しみ9割、不安は殆ど無く・・・溢れる期待を胸に
この土地に降り立った日の事を今でも鮮明に思い出します。
22歳から約2年半過ごした場所へ、ちょうど10年の年月が流れた今、久しぶりに足を運んでみたくなり
その当時の感性と今の感性とを擦り合わせてみたい気持ちで、その土地へと向かったのでした。
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宇都宮の中心に位置する商店街「オリオン通り」
私の好きな歌手の一人、”斉藤和義”さんの歌の題名にも使われている事で有名。
当時は「オリオン通り」=栃木の渋谷 と言われていた通りです。
それともう一つオリオン通りを抜け横断歩道を渡ると、「ユニオン通り」と言われるアーケードが出てきます。
当時は「ユニオン通り」=栃木の原宿と呼ばれていた通りで、どちらのアーケードも其々の”味”と”色”があり
それがとても新鮮に感じて、休日に足を運んでは少しずつ新しいお店を開拓していきました。
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20代前半をこの土地で過ごしたのですが、当時は「マニアックな古着屋」が多く点在していた印象があります。
東京で古着屋を経営されている方が宇都宮にも商品を買い付けにくる。と言われたくらい古着の穴場で
両アーケード内を賑わせていた数々の古着屋。レギュラーと言われるものからヴィンテージまで幅広い品揃えで
仕事の休みの日になると、半日かけてこの通りを行ったりきたりして洋服にどっぷり浸かっていました。
当時の僕は特にインポート物に魅せられていた時期で、BIRKENSTOCK・INVERALLAN・Barbour
PATAGONIA・DANNER・USA CONVERSE・アメリカ物からヨーロッパ物などを買い漁っていました。
とは言え、まだその頃はそういった類の背景や本質などは二の次で、殆ど理解せずに購入。
勿論、店員さんはあれやこれやとウンチク等を交えて教えてくれていたのですが、手に入れる喜びが先で
その物がどういった物であるのかは、あまり頭の中に入っていなかったように思います。
何となく雰囲気が良い感じがする・・・が基準の僕の服選び。
買ってきた数々の服は、今思い出しても素晴らしいモノであったのは間違いないですが
それが似合うとか似合わないとかそういった次元ではなく、完全に服に着られていたという表現が
当時の自分には当てはまる気がします。
その中でも、今でも印象に残っているのは”Barbour”のオイルドジャケット。
洋服にオイルを浸み込ませているという衝撃。強烈な匂いと対峙しながらそれを一所懸命着て出掛ける
手に独特の匂いが付くのを我慢しながら・・・それでもファッションはある程度の我慢が必要だ!!
という業界の教えをあの頃は忠実に守っていた気がします(笑)
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僕にとっては洋服をより好きにさせて貰えた貴重な時間でもあり土地でもあった「宇都宮」
今回訪れてみて、僕が知る限り当時と同じように営業を続けていたお店はオリオン通りに1店舗、
ユニオン通りに1店舗の2店舗のみ。
時代の流れや郊外型のショッピングモールなど複雑な事情が絡み合い、お店を閉じられた方が大半だと思いますが
そんな中でも2店舗の靴屋さんだけは、当時と何ら変わらずお店を続けていて何だか嬉しくもあり、
同時に、商売を続けるという事の難しさを改めて感じました。
当時からその2つの靴屋さんは外観こそ普通な感じでしたが、品揃えがとにかく凄かった。
こんなお店に・・・と言えば失礼ですが、他とは全く違う品揃えで、売れる売れないという判断ではなく
その店の店主が、良いと思い選んだ品を提案するという意気込みと信念が感じられたお店でした。

そういった品揃えは時代の流れやトレンドに左右されることなく、お客様に支持され続けるのだと
言葉では理解しているつもりでしたが、現実を目の当たりにしてより一層強い確信に変わりました。
10年以上お店を続ける難しさ。何かの資料で見たのですが10年お店を続けられるのは僅か一握りで、
日本全体で見てもほんの数パーセントでしかなく、それ以外のお店は何らかの理由で閉店しているとの事。
そう考えれば、10年振りに訪れた宇都宮。
殆どのお店が無い事が当たり前で、ある事の方が逆に奇跡みたいな事のかもしれません。
それでも、その街に存在する様々な個性豊かな個人のお店によって、その街に「味」や「色」が生まれ、
街の面白味となり、文化として繋がっていくのだという事も、改めて意識する必要があると感じました。
僕自身が店を持つようになり、街と店の関わりに強く興味を持つようになりました。
最近は様々な土地に足を運ぶ事で、その街の色を肌で感じる事が出来、それが愉しみの一つでもあります。
こうすることで、どうしたら自分達らしい色を出せるかにも繋がっていくはずだと思っています。
良かれ悪かれ、色々と感じた宇都宮での時間。
旅はもう少し続きます。

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