10月7日

台風の翌日、洗われた清々しい空気のなか。
朝焼けに照らされた、岩手山の頂上にうっすらと白い影を見ました。
初冠雪の報せに、季節の移り変わりの速さを感じつつ、
短い秋を存分に惜しみなく楽しみたいと思うのです。
秋冬の洋服も続々と届いています。
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susuri      チンカラーロングシャツ

color       cream  

price       28000+TAX

SIZE       M SOLD
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susuri       チンカラーロングシャツ

color        grey stripes  

price        31000+TAX

SIZE        M SOLD
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susuriから届いたチンカラーロングシャツ。この服がリリースされたのは2013年のAWになりますが
細かな仕様に変化を織り交ぜ、今季もリリースされました。
荷解きをし、届いた商品を広げた瞬間に広がるsusuriの世界。
言葉にしてしまうのが、何だか勿体ない位にディテールも生地も美しい。
先ず触れてみると感じる、見た目のイメージとは異なるしっかりと力強い生地感。
そして着てみると、きちんとした見た目からは予想もしていなかった程の
着心地の良さ・体の動き易さに驚きます。
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特徴的なフロント部分。
中央では無く左右アシメトリーな位置に並ぶフロントボタン。
釦を留めると首に沿うスタンドカラーにもなり、また好みの位置で襟を折り返す事で
その時々で全く異なる表情を作りだします。
大きく折り返すと、カジュアルな印象が強まりさらりと一枚でも着易くなり、
しっかりと上まで留めると、クラシックでマニッシュな印象が増して雰囲気も出ます。
気分によって、合わせる靴やコートによってお好みで。
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素材はフロント部分には、やや厚みがありタフさを感じるストライプ地の馬布を用い、
ベースとなる無地の部分には、シャトル機でゆっくりと織られた程よいムラ感と、まったりとコシの強い
綿生地を使用しています。
素材の持つ魅力を最大限に活かしながらも、それらを美しくも考え尽くされたデザインと組み合わせる事で
袖を通す度に、驚きと感動を与えます。
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隅々まで、気になります。そして着るととても絵になる服。
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恐らく写真からではお伝え出来ない事が沢山あります。
いつでも、どの洋服もそうですが先ずは袖を通して見て頂く事をお勧めしたい。
そんな想いが一層強くなる、susuriのチンカラーロングシャツ。

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susuri      パブパンツ

color       charcoal  

price       30000+TAX

SIZE       M   /   MM SOLD

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ロングシャツと一緒に合わせたボトムもご紹介致します。
勿論ロングシャツに似合うと思いスタイリングしましたが、隠してしまうのを躊躇う程
全体のシルエットが格好良く、可愛らしいパブパンツ。
このパンツが持ち合わせる二面性や、穿いた時のイメージが伝わればと、
着丈の短いシャツとの組み合わせに変更しましたので、ぜひ気になられた方は
コーディネートの妄想をあれこれと膨らませて頂けたら。
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フロントからの見た目はどこかかちっと綺麗な佇まい。
サイドから見るとヒップに膨らみを持たせ、丈とのバランスもどこか愛らしくユニーク。
ハイウエストで引き締める部分と立体的でどこか緩ませる部分を織り交ぜる事で
不思議な存在感を放つパンツ。
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ウエストはトップボタン二つはむき出しで、他はボタンフライ仕様。

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右側のポケットの中には小さな秘密が隠されています。
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ウエストを高めでしっかりと固定する仕様として、後ろにはシンチバックで締めれるように
施されています。
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裾はダブルの5cm幅で処理。ボリュームのある幅なので靴とのバランスも重要になります。
素材は綿100%の馬布を使用していますので洗濯はご自宅で可能ですが、センタークリースを入れる場合は
当て布などをして素材の雰囲気を損なわぬよう、多少の注意は必要です。
身に付けるのに考えたり、お手入れしたりと多少の手間が掛かっても、その分永く愛着を持って
穿き続ける事が出来ると考えたら、手間も手間と感じなくなるのだと思います。
そんな些細な事でも、自分の身の回りの物達と日々丁寧に接することが出来たら
より毎日を幸せに過ごせるのではと感じました。
気になられた方は、どうぞ店頭でご覧ください。

rasiku  sasaki

無題

日々の中で感じる事と思っている事を久しぶりに書いてみようと思います。
rasikuをオープンした当初は月1回は、こういった類の文章を書くつもりでいたのですが・・・
最近はなかなか書けずにいたので、これからまた不定期ですが書ければと思っています。
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盛岡で洋服屋を始めて2年8か月が過ぎようとしています。
この月日の間に変わった事変わらない事・・・小さくとも変化した事は色々とあったように感じています。
自分達の店という事の考え方や在り方、これからの目指すべき姿や憧れ・・・
などずっと変わらずに想っている事もあれば、以前に比べると少し物事に対しての見方や考え方が、
どこか前のめりになっていた様な部分が、一歩下がって客観的に見えたり、一呼吸置いてみたり。
悩んだりもしますが、そうする事でより自分達が好きな事や、こう在りたいという姿がはっきりと
してきた様にも思え、前進しては後退してそれでも一歩ずつ前へ前へ進んでいるようにも感じています。
とは言うものの、試行錯誤しながら過ごす日々には変わりありません。
自分が選んだ商品を手に取り選んで頂ければ嬉しいに決まっていますし、反応が無ければ
原因を追究し次の糧にする・・・その繰り返しと積み重ね。
まだまだ断然に巧くはいかない事の方が多いですが。
だからこそ、この仕事が楽しくてやめられないんだと思ったりもします。
「安定」を求めて独立した訳ではないですし、自分自身が好きな事をやっているからこそお客様にも
洋服の楽しさや奥深さ、着る事の喜びなどが徐々に伝染していくのもしれません。
【洋服は伝染するもの】
洋服が持つその力を、僕は以前よりも強く感じる様にもなりました。

「洋服」というキーワードで大きく見てみると
10年前頃からファストファッションと言われる、低単価の洋服が世の中を席巻し騒がれ、大型ショッピングモールが
地方都市に次々に建設され、洋服を買うという行為が手軽になりそれが当り前の時代になりました。
最近で言えばインターネットでの通信販売が普及して、大手セレクトショップ等では実在する店舗を含めても
一番大きな売上げを誇るのはインターネットの店舗と言った噂も良く耳にするようになりました。
恐らく、個店に置いてもオンラインショップは在って当然の様な流れになっています。
今まで簡単に買う事の出来なかったブランドや、地方都市の離れた場所に住んでいてなかなか実物を見る事が
出来なかった方にとっては革新的なツールになったのは言うまでもありません。
洋服を販売する企業、お客様にとっても大きなメリットになっている事には間違いありませんが、
その手軽さと利便性が「光」とすると、もう一方の「陰」の部分で言えば
洋服を買う行為に対して「人」を介さずに「物」だけが簡単に手に入る時代になったと言えます。
勿論、写真撮影やHPへのアップロード作業、商品の発送など人の手はかかっているものの
販売に対して「人」と「人」とのコミュニケーションが無くなり、「物」と「お金」の流れのみが発生している
状況だと言えます。(勿論ネットの繋がりの中でも本当に親切な対応をして下さる方も沢山いますが。)
「人」との関わり合いがなくて、ある意味で「人」と向き合う「面倒臭さ」や
「場所」に行く手間が省ける事に良さを感じる方もいます。
だからこそ、以前は当り前だった手間や面倒くささに温かみを感じる人もいます。、
そういったぞれぞれの価値観があって、それをどちらも否定する事は全くありません。
ただ、一方で「物」を手に入れるまでの道のりが、スムーズになり過ぎて「物」を「モノ」としてしか
見ていない人が現状では増えているような気がしてなりません。
自分達の店に限った事では無いと思うのですが、自分達の店の意図や温度が伝わらず、
少し残念に思ってしまう様な行動や言動に、言葉を失うことも何度かありました。
そういった事も少なからず上記の内容と多少はリンクしているのではないかと思っています。
自分達がこの店で出来る事は極々小さな事かもしれませんが、強い想い入れや愛着がある
商品のひとつひとつを大切に提案する事で、お客様にとってもその気持ちが伝染し、
お互いが尊重し合い、心地良く買い物が出来る環境にしたいと思い続ける日々です。

「お店の存在意義」について
前の話の続きになるのですがお店がある以上、足を運んだだけの付加価値であったりお店でしか聞く事の
出来ない話をお店側も発信し続けなければいけないと思っています。
それは洋服の着こなしにおいても同じで、例えば同じ商品を購入すると考えた時にインターネットで買っても
お店で買っても全く同じ商品を手にする事が出来ます。
その代わりにほんのちょっとした部分のコーディネートのアドバイスであったり、靴や鞄のアフターケアの仕方や
メンテナンス。そしてくだらない店主の世間話など。
そこでしか知り得ない″付加価値″をお店は付ける事が出来ます。
そして何よりも、自分以外の人からのアドバイスであったり助言は「感性」を大きく刺激してくれると思います。
僕自身も商品を仕入れに展示会に行くのですが、商品を見るのは勿論ですがデザイナーの方の着こなしや
何気ない会話の中から時々こぼれる洋服への想い。
今までに無かった感性を刺激されに行く、というのも自分の中で楽しみの1つと捉えています。
年に二回の展示会は、何度行っても未だに緊張しますしワクワクもしています。
そこで選んだ商品が店頭に並ぶ訳ですが、お客様に対しても同じ様に″ワクワク″したり″ドキドキ″
するような気持ちで「rasiku」のドアを開けて貰えるようなお店を目指しています。
洋服は着てみないと分からない事が多いですし、合う合わないを自分自身の感性で判断し
更には客観的にきちんとアドバイスをしてくれる″スタッフ″がいれば、より自分に似合うものが分かったり、
自分の中には無かった新しい発見があるかもしれません。
そういった事を含めて「お店」の存在意義はあるのだと思っています。

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「最後に」
僕がイメージして理想とする「洋服屋」になるまでは、まだまだ時間ともっと自分自身の感性を磨かなければ
なりません。それでもこうして足しげくお店に足を運んで下さるお客様には感謝の気持ちでいっぱいですし
BLOGでしか商品を紹介していませんが、面倒なシステムにも関わらずお問い合わせを下さるお客様にも
同じくらい嬉しい気持ちでいます。
僕は今でも洋服を買う事は″特別″な事だと思っています。
それは洋服屋として独立した今でも変わらない感情で、自分の店で服を選ぶ時も同じ気持ち。
学生時代から必死でアルバイトをして頂いたお給料を握りしめて「渋谷」「原宿」「代官山」に洋服を買いに行く。
横浜から乗る東横線の急行渋谷行の社内で何を買おうか・・・と想いを募らせる。
いざお店に入って店員さんの着こなしをチェックし、目に飛び込んでくる数々の誘惑と戦う。
お財布に目をやり、自分の中で既に気になった商品の合計を瞬時に計算・・・
けれどまだ1店舗目・・・次に行ったお店でもっと良いのがあったらという気持ちとの葛藤
その後、日が暮れるまで洋服屋をはしごする・・・
家について、軽くなったお財布と重い(想い)の詰まった荷物を開ける喜び。
こんなアホみたいに洋服に没頭した頃の気持ちや買った洋服は今でも鮮明に覚えていますし
少しでもあの頃の僕の様に我を忘れるくらい、この場所で興奮して頂けたらといつも思います。
ただ、言ってる事は矛盾しますが僕自身は無理をしてまで洋服を買う必要はないと思っています。
が、少し手を伸ばす努力や欲しい物に近づく努力をしてみるのも悪くないのでは・・・と思う自分もいます。
無理してほしくは無いけど、欲しいと思う物には自ら近づいてみて欲しい。
このなんとも複雑で曖昧な感情が自分らしさなのかなと思っています。
「洋服」で人を幸せに出来るような「お店」であり「人」でありたいですし、洋服屋として盛岡に無くては
ならない存在になりたいと思っています。
「rasiku」は10月で法人(合同会社)としてなんとか3年が過ぎましたので、今の自分の気持ちを
素直に書いてみようと思いました。久々に書いたので長くなりました。
一気に書き過ぎて、次書くまで時間が掛かりそうです。笑
最後まで読んで下さった方、有難うございます。
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