12月3日
ぱたぱたとしていたら12月です。師走です。
毎日眺めていた大銀杏の木もすっかり冬支度で全ての葉が落ちてしまいましたが、
今までは葉に隠れていたであろう、鳥の巣が、枝と枝の間にぽつんと佇んでいるのが見え、
その光景が何とも可愛らしくて、この時期の大銀杏の楽しみ方を知りました。
さて、もしかすると以前も一度BLOGに書いたかもしれませんが、rasikuは1つの会社組織として
運営をしております。とは言いましても僕と妻の2人で日々の全ての業務を行っているので、
会社というと大袈裟な気もしますが、一応小さな小さな会社です。
そんなrasikuは今年の9月末で会社設立から丸4年が経過し5年目へと突入しました。
そういえば最近は商品BLOGが多いし、なんとなく今の気持ちを整理してみようと思い、
こうして4年経った今に思う事を、思いつくがままに綴っている次第です。
お店を始めた当初は、3年間はまず自分が思う洋服の軸や基盤となるアイテムを中心に提案する事を
1つの目標にしていました。イメージは良い土での地盤作りのようなこと。。。
さらに4年目はその軸の他に、自分達の好きな物の濃度をもう少し濃くした店内にする事と、
色々な事にチャレンジする1年にしようと思い店内でのイベントを幾つか企画してみました。
3月trippenの展示販売、4月TEMBEAの展示販売会、6月INDIVIDUALIZED SHIRTS TRUNK SHOW、
7月roudabaout×FUJITO 機能の箱@rasiku 作用の棚@carta、
8月鶫 tsugumi 銀小物製作所 アクセサリー展示販売会、10月 合同展示会 entwine
こうして並べて見るとなんだか色々とやったなぁと自分では思うのですが、
それにしても毎月展示を開催されたりするお店の方の凄さを身を持って実感しますね。
店内をがらりと変えて行う単独での展示販売は、ほぼほぼ初めての事だったので、
最初は思いがけぬ事態もあったりしつつ、回を重ねる毎に要領を得て準備なども徐々にスムーズ
に出来るようになりました。不慣れな点もありましたがメーカーさんや作り手の方にもお力を借り、
本当に良くして頂いて有難い気持ちと、数日間一緒に過ごし展示会では出来ない話もたくさん出来て、
どの時間も心に残る良い時間だったなと思います。
「今の自分達が出来る事を精一杯やる そして自分へのご褒美」
そんな意味も込めて行った各展は、自分達にとっても視野や思考を広げたり確認する
機会にもなりました。靴屋になったり鞄屋になったり、シャツ屋になったり。笑
お客様にも僕達が提案するというよりも、一緒に楽しみながら自由に何かを感じたり、
物を選んだりする事で、今までの好みや見方や価値観が広がったり変化する、
何かしらのきっかけになったら良いな・・・そんな事を思いながら店頭にいました。
いつものrasikuとは異なる空間で、実際にその商品に携わる方との会話を交えて
商品に触れて頂く機会はなかなか無い事ですし、自分の目の前にある物がぐっと近く
そして確かに感じられたのではないかなと、個人的に思った事でした。
実際に来て下さったお客様はと言うと、真っ直ぐにぱっと選ぶ方もいれば、
何度も手に取り吟味して悩まれている方もいて、それぞれでしたが最終的にはぴったりと合う物を
選び手にされている。これも不思議ですがそういう事なんだなと。
また、その時はこれというモノに出逢わない方もいる。でも時間を置いてまたいらしてくださったり。
そんなひとつひとつの何気ない出来事が、凄く良かったなと思うのです。
というのも、rasikuに並んでいる商品は当り前ですが僕の眼で見て良いと思う物が常に並びます。
お客様に合うかどうかという事よりは、基本的には自分がその時に惹かれたモノがセレクトする基準で
中にはこれはあの人に似合いそうだな・・・と思う事はありますが、それ重視で選んでしまうと
はっと見渡した時に自分の好みでは無いものや、自分の根本からかけ離れた商品までが並んだりする
可能性があって(実際にそうなりかけた時期もあった・・)それは自分が想い描く自分の店とは
違うのではないかなと考えて、展開するアイテムの見直しもしたりしました。
もちろん、お客様に共感して頂けたらそれはとてつもなく幸せな事で、喜んだりわくわくして、
洋服を楽しんでもらいたいという想いは常にありますが、誰にでも好かれるような店だったり、
ビジネスライクな品揃えというのには興味が湧かず。それはきっと僕がやらなくても他の誰か、
それをやりたい人がやる事だと思うので、今後も自分がこの店でやろうとする事のスタンスが
大きく変わる事はないだろうと思っています。
僕のお店の良さは″普通″さだと思っていて、先鋭的なモノであったりトレンド感のあるものハイブランドなどは殆どありません。
服とその物の価値のバランス・自分のライフスタイルで着るかどうかが重要で、自分が着るイメージの湧かないものを
提案するのには違和感を感じてしまいます。
言ってしまえば変わり映えがない品揃えに映る方も当然いると思いますし、全くピンとこない方も
いると思うのですが、それで良いと僕は思うのです。
人は飽きもしますし年齢によって好みも変わります。でも根本は結局変わらなかったりもします。
僕はいつでも自分の気持ちに素直になって、自分が良いと思って選んだものをずっと提案し続けたいのです。
提案の仕方にしても、あまり強く「これです」という言い方はしない方かもしれません。
もしかしたら捉え方によってはとても不親切に感じる方もいるかもしれません。
僕自身が決めるより、その方自身で物を見て想像したり、頭の中に色んな場面や大切な人や
想いを巡らせて選ぶという行為は、洋服に限らず全ての事に繋がってくるのではと思うのです。
今まで出逢ってきた僕が素敵だなと思う方は、聞くと大体が皆揃って「たくさん失敗した」と言います。
その後に必ず、何でこんなの選んだんだろう!という笑い話や、無理して着てた話を良い顔で話すのです。
そういった事を沢山してきている方は多くの経験と失敗があって、その失敗もその時は失敗と思ったとしても、
それは自分が本当に好きで似合う物に出逢う為の階段で、好きな物に自然と出逢えるようになったら、
それはもう失敗では無いと思うのです。
僕自身、服に関しては基本的には何でも良いと楽観的思っていて、その中に自分なりの考えやイメージがある事が
凄く大事で、ただ高い洋服やトレンドのアイテムを身に付けたからと言ってそれが格好良かったり素敵に映る訳ではなく、
その人の暮らしや考え方に寄り添った洋服の着方を楽しんでしている人の方が、魅力的だと僕は思います。
だから僕の店にはふつうの白いシャツや変わらないカットソーにボーダーのTシャツ、ベージュのチノパン、オリーブのパンツ、
5ポケのデニムがいつでも淡々とそこにあって、季節によって「服がほしいなぁ」とふと何気なく思った時に
行ける店で在れたらいいなぁと思います。行けば何かある。良く見ると少しだけ変なのもある。
そんなお店。
最後に、お店が存在するという事。
僕はお店を出す4年前までは開店する事が一番大変だと思っていましたが、独立をしてみて店を出す事よりも
日々店を続ける事の難しさを実感しています。独立をした以上は止まれないしずっと続けていきたいと
思っていますが、自身のやりたい事を貫く固い意志と現実との間でバランス良くやらなければなりません。
何年、何十年も続いているお店や会社が、今までそこに当たり前に在る事が、実は当たり前では無かった
・・・という事にも気付かされた4年間でした。
そんな僕自身とrasikuの目標と目指すべき姿は、誰かの為に必要とされる人でありお店になること。
その気持ちは4年という時間の経過と共に大きくなっています。
お店が在り続けるというのは必要としてくれる人がいるからこそ成り立つ訳で、そこに魅力なり需要が
なくなれば淘汰されていくのは当たり前の事。
たくさんの方に支持されなくとも、この街に必要としてくれる人がいてくれる限りはこの場所で
静かに淡々と時々気合をいれて、お客様と洋服とが出逢える場を作ってお待ちしています。
長くなってしまいましたが、会社設立5年目のrasikuを、そして12月のrasikuを
改めて、どうぞよろしくお願い致します。
2015/12/03 | 6:39 PM | rasikuの想い