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今日、1月29日は自分達が勝手にあてはめた語呂合わせで「いーふくの日」
ということで、良い服の日にオープンして今日で丸6年が経ちました。

6年前は僕達のお店が入る大手先ビルの雰囲気はもっとクラシックで謎めいていたような気がしています。
今では一階もすべての店舗が入っていて、多種多様な面白いビルになりました。
街の姿にも大なり小なり変化があり、昨年は特に印象に残る出来事が多かったようにも思います。
そんな移り変わりからも、6年と言う月日の流れを感じずにはいられません。

遡れば、オープン当初はとにかく商品が無く、18坪あるお店に全ての洋服を並べ、さらには私物の服も並べて、
それでもありあまる余白を、どう埋める?どう魅せる?に必死な毎日を送っていました。笑
ゆっくりと少しずつではありますが、全国各地にブランド・作り手の方とご縁が出来、何となくようやく
洋服屋らしい雰囲気になってきたかもなと、毎朝、店のドアを開く度に実感できる様になりました。
rasikuという店名も、お客様からrasikuさんと呼んでいただける事が自分達の中で自然になってきたり、
時に、重要な決断をする際にも、自分達らしくいられること…を心の中で繰り返し呟いたり、考えたり。
何か立ち止まる度に、いつも必ず店名を思い浮かべ、原点に戻れる事。
自分らしく洋服をきてもらいたい。そんなお客様へむけた気持ちから切り取った店名ですが、今となっては
指針となる名前にもなってくれました。

6年とは言っても短くて、まだまだ長い道のりの途中に過ぎないと思っています。
ただ、自分の中の小さな節目ではあるので、僕自身が感じた事を簡単に残しておこうと思います。
洋服にはというか、何かを選んで買うということも含めて、色々な考え方があってどれが正解で間違っているとか、
そういった事は何一つありません。自分達は洋服をメインで扱っているので洋服というジャンルで言うと、
お店の数だけ、それぞれの価値観や特色、得意な分野などがあって、同じ洋服が並んでても提案の仕方は異なります。
そして、お客様ひとりひとりにも、ご自身の生き方や考え方があり、その中で好みが近い、居心地の良いと思えるお店に
出逢う為に、足を運んで下さっているのだろうと思っています。
僕自身も洋服は自分のお店に並ぶ服と、好きな古着屋さん、出張などに行った際に買い物をしています。
それ以外には、飲食・喫茶・雑貨や家具、習い事などなど、今の自分の生き方や考え方に合うお店を
(だけとは言いませんが)中心に足を運ぶ生活を送っています。
ふと気付いた事が、洋服に限らずですが、何事においても昔から一歩引いた所で物事を見ていたり、
自分なりの一定の距離をもった付き合い方の方が好きで、今もそうだと感じています。
それはどこか冷めている様に映るかもしれませんが、自分の中では客観的にどう見ているのかとか、
何かと向き合う自身を、さらに遠目から見ている様な感覚であって、うまく言えませんが…
その感覚で生きてきた分、物の選び方や、お店に関しても色んな面に反映されているなと思います。
それが良い悪いかという話でも無く、ただ自分がそうであるというだけの事なんですが。苦笑
思うのは、現代のとてつもないスピードで流れる情報の波や多様化された選択肢の中で、自分が本当に好きな物や
洋服を選ぶというのは便利になって簡単そうに見えて、とても難しくも思えますし、その時の懐事情もありますし、
いつどんなタイミングで出逢えるかも分かりません。
そんな中でも自分自身の感性と感覚を信じて、能動的に選択するというある種の努力を積み重ねる事で、
自分の中の小さな円が経験という財産を経て徐々に大きな円になり、その過程では沢山の失敗もするかもしれませんが
そういった失敗も全ての事柄を含めて、いつしか「自分らしさ」に繋がっていくのではないかなと思っています。
それは自分にも言える事で、まだまだ色んな物を見て、触れて、足を運んで、手を動かしたりして、
円を大きくしていきたいなとも思います。

自分が今日までお店を続けてきて見えた事、そして、この先も続けていくうえで大事にしていたいと思うのは、
その″物″自体に価値を見出すというよりも、物を通じて自分自身が好きになったり、生き方が楽しくなる様な
そんな提案やきっかけに出逢えるお店にしていきたいと思っています。
僕達が扱うのがたまたま洋服だっただけで、その好きになる物自体は何だって良いと思うので。
ここには僕自身の目で良いと思って選んだものが並んでいるので、自分の言葉で伝えることは勿論しますが、
それが誰にでも共感される訳では無いと思いますし、お客様自身が思いがけず気に入って選んだり、決断をする際の、
ほんの少しのお手伝いが出来れば満足です。と書くと物足りなさやいい加減に思われてしまうかもしれませんが・・・。
そんな曖昧なニュアンスを楽しんで頂ければ良いなと思いながら、どう伝えれば良いのかを模索中でもあります。

今までもこれからも、変わらない様で変わっていけるような人であり、お店で在り続けたいですし、
ここに行けば何かある・・・という様な、特別な存在にならなくても、ふと思い出した時に行きたくなる、
そんなお店を目指しています。
結局長々と書いてしまいましたが、最後にいつも、晴れの日も、雨の日も、曇りの日も、雪の日も、
足を運んで下さるお客様、本当にありがとうございます。そして近くで遠くで、刺激を与えて下さる
お店の方々や、作り手の皆様にも、ありがとうございます。
そして、7年目のrasikuを、どうぞよろしくお願い致します。

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